低分子化抗体を高生産する微生物開発プロセス

 抗体は、標的抗原との結合による中和活性やリンパ球や補体を活性化させることで細胞を傷害させるタンパク質であり、標的の細胞や組織のみに薬効を示すことができます。このことから、古くから魔法の弾丸と呼ばれ、現在では、売高上位10の医薬品の半分が抗体医薬が占めるに至っています。

 しかし、この抗体の開発は萌芽的段階から成熟段階へ移行しつつあると言われており、抗体の低分子化および新機能な抗体への再構築, 抗体骨格に依存しない抗体様分子, ピンポイントに薬物が結合した抗体-薬物複合体などが研究されています。

 その中で抗体の低分子化は、抗体の微生物発現を可能とします。通常の抗体は、分子量が15万程度の大きなタンパク質のため、コストが掛りやすい動物細胞で生産する必要があります。そこで、抗体の必要な部分だけを使って微生物で生産可能な分子量をもつ抗体の開発が進んでいます。近年では、BiTE(AMGEN)のようなT細胞を活性化する抗体断片とがん細胞特異的な抗体の断片を組み合わせた低分子化抗体がFDA認可されています。しかし、この低分子化抗体は分子量が6万であるにも関わらず、微生物による大量生産には成功していません。

 我々は、ゲノムデザインサイクルの考えを用いて、低分子化抗体を高生産できる微生物の開発を行っています。